明日香村彼岸花祭り(2014.09.20)

いつかまた行きたい明日香村。そう思い続けて早七年も経とうとしています。
折りしも彼岸花の綺麗な季節。明日香村ではちょうど彼岸花祭り開催中。
しかも、明日香村の地元劇団「時空」が彼の有名な「天上の虹」を原作とした有間皇子の劇を上演する。
これは行かないわけには行かないでしょう!
と、思い付いたのが先週火曜日。上演は四日後の土曜日……
無茶と承知の上で晶さんをお誘いしてみたところ、嬉しいことにご快諾いただけました!

天王寺で待ち合わせてお昼をご一緒した後、近鉄阿倍野駅から飛鳥駅へ。乗り換えなしで行けます。
大河ドラマの話で盛り上がっていたら、あっという間に飛鳥駅に着きました。意外に近いですね。
飛鳥駅を降りると、おじ様から観光パンフレットを戴きました。
なんと、彼岸花祭りの会場となる稲渕の棚田まで無料バスで連れて行ってくださるとの事!
近鉄電車の中で「歩いて寄り道しながら稲渕まで行きましょうか」と晶さんと相談していたのですが、
大幅に時間も体力も削減できました。バスもすぐに出たのでラッキーでした♪

彼岸花祭りの会場の稲渕はこんな所。棚田が美しいです!


彼岸花祭りの時期に「案山子コンテスト」なるものを毎年やっているそうです。
今年のテーマは「童謡・唱歌・わらべ歌のものがたり」なのだそうな。
というわけで、色々な創作案山子が私達をお出迎えしてくれました。

本当のお地蔵様かと思いましたが、実は案山子。おもちゃのお供え物まであって、リアルすぎです。


か〜ごめ、かごめ。かーごのなーかのと〜りはぁ♪ 手前には鶴と亀も。
カカシと言うより人形ですよね、この子達は。遠目で人間と間違えてしまいそうです。


案山子らしい金太郎さん。しかし大きい。手前においてあるオレンジ色のカボチャは、子供が腰掛けられそうな大きさ。


うんとこしょ、どっこいしょ。「大きなかぶ」ですね。案山子に見えませんって……


だるまさーん、だるまさーん、にーらめっこしましょっ!
スパンコールみたいなキラキラをいっぱい付けていて、「デーモン小暮閣下?」と思ってしまいました(苦笑)


コレはどう見てもぬいぐるみでしょう! 魚釣りの河童ちゃん、可愛いですけれどね。


黄色い彼岸花も咲いていました。
以前に八尋さんに赤色以外の彼岸花もあると教えていただいたのですが、実物を見るのは初めてです。
クリーム色に近い黄色い彼岸花は可憐な印象でした。


案山子ロードを後にして、稲渕を奥へ奥へ。目的地は南淵請案先生のお墓です。

稲渕は南淵先生の出身の地です。故郷に葬られたのですね。
この人の何が凄いって、あの中臣鎌足さんと葛城皇子の先生だったと言うところです。
この曲者二人を教えていて、恐らくは相当な影響を与えたであろうお人なのです。
そんな人が曲者でないはずが無い、と晶さんと意見が一致しました(大笑)

この辺りにも彼岸花が群生していました。これだけ集まると何とも神秘的ですね。


さて、稲渕を堪能しましたので、観劇の会場である石舞台へと参りましょう。
途中でちょっと寄り道。飛鳥稲淵宮殿跡です。と言っても駐車場になっていて、碑が建っているだけでした。
私は全然知らなかったのですが、ここは難波から飛鳥に都を戻した時に宮殿を置いた所と言われているのだとか。
晶さん、さすがによくご存知です!

しかし、なんでこんな丘の麓みたいな所に宮殿を置いたのだろう?
飛鳥寺のある平野部辺りから来ようと思うと、ぐるっと丘を迂回するか、丘を登らなければなりません。
私達は上まで登って来たのですが、かなり斜面が急でした。去年の談山神社の御相談所までの山道を思い出しましたよ。
もしかして、難波宮から攻め込まれることを危惧したのでしょうか?

17時少し前に石舞台地区の「あすか風舞台」へ。
開演は18時半からなのでまだ時間はありますが、私はお腹も空いたので、席も取りがてら休憩。
日が暮れる空を見ながら、舞台を目の前にのんびりと開園を待ちます。


彼の有名な「天上の虹」ですが、実は私は読んだことがございませぬ。晶さんは途中までご存知との事。
有間皇子の話は冒頭の2巻までなのですね。どんな話になるのかドキドキしながら待ちます。
以下、印象に残ったことをネタばれ。セリフはうろ覚えです。雰囲気でお察しください(スミマセン)。

冒頭から迫力があったのは間人皇女。
鵜野讃良皇女の誕生を喜ぶ中大兄皇子に、「私にも抱かせて」と赤子を抱き上げます。
「私はお兄様と愛し合っているの」「でも実の兄と妹。子供も産めない」一瞬、本気で赤ん坊を床に落とそうとします。
遠智娘が思わず「間人様!」と叫んで、未遂に終わりました。怖!

入鹿暗殺を経て、孝徳天皇が皇位につきます。
孝徳天皇さん、一人マイクなしで台詞を言っておられました。声が通るなあ。
中大兄は間人に「孝徳天皇の皇后になってくれ」と頼みます。
間人は半狂乱で泣き叫びながらも、結局「お兄様を愛しているから行くのよ。それを忘れないで!」と承諾します。
この場面も迫真の演技でした。

そして、中大兄は自分が苦しめた人々の幻にうなされます。この苦しみっぷりが印象的でした。
謀反の疑いで殺した異母兄・古人皇子、無理に政略結婚させた実妹・間人皇女、
同じく謀反の疑いで死に追いやった義父・石川麻呂、そして父の死の悲嘆にくれながら息子を産み落とした遠智娘。
気が触れた遠智は「愛していたのに、あなたは私を信じてくださらなかった」と叫び、息を引き取ります。
「遠智? おちー!!」と後悔の雄叫びを上げる中大兄様、なんて素敵なんだ。格好悪いのに格好良すぎる。
あまりに素敵だったので、妄想が講じて小話まで書いてしまいました。「光さす方へ」

難波宮では中大兄と孝徳天皇の意見が早速対立。有間皇子が「天皇に対して失礼だ」と憤ります。
怒れる有間は娘の鵜野讃良を誘惑して苦しめてやろうと決意します(この有間の性格も新鮮)。
でも母を失って心細く泣いている鵜野讃良の純粋さに、すぐ自分の過ちを恥じます(早!)
そして、彼女を妻にすることを約束する……なかなか無理やりな展開。
鵜野讃良ちゃんはふんわりしたオレンジ系の衣装、有間は水色。並んで立つと、とても綺麗です。

やがて中大兄は、孝徳天皇を難波に置き去りにして飛鳥に戻ることを宣言。
飛鳥に戻って斉明天皇が重祚しています。斉明天皇さん、お綺麗でした。
土木工事を自分のせいにされて「せいぜい私を隠れ蓑にしなさい」と冷たく言い放っておられました。
中大兄は、工事は内乱を防ぐためだと言い切ります。その首謀者候補は有間。なるほど、そういう展開ね。
「まさか。有間が?」と信じない大海人皇子に、中大兄は真実を探るよう命じます。
更に「額田王を譲れ。お前には太田皇女をやる。鵜野讃良もやろう」と持ちかけます。オレ様至上主義だなあ。

口の利けない建皇子が夭折してしまいます。
最愛の孫を失った斉明天皇は「政治も何もかももう沢山!」「工事をするなら寺を建てます」と中大兄に宣言。
脈絡なく強気な斉明天皇、素敵です。
建の死をきっかけに、有間は正気を取り戻す=狂ったふりを止めます。
そこへ蘇我赤兄がやってきて謀反を勧めに来て、口車に乗った有間を翌朝に馬に乗った赤兄が逮捕に来ます。
そう、です。作り物の馬。
きっとあの馬は手持ちの大道具で、どこかで使いたかったんだろうな。でも、なぜ赤兄登場シーンにわざわざ!?
捕縛された有間は天皇の御前に引き出される前に、最期の食事を渡されます。
そこで詠んだ歌が「家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る」。

ラストは鵜野讃良と大海人が、共に強く生きていくことを二人が誓い合ってフィナーレです。

役者紹介で判明。中大兄皇子は普段は郵便局にお勤め、大海人皇子は信用金庫にお勤めなのだとか。

いやあ、とっても素敵でした〜♪
お芝居は勿論のこと、色鮮やかな衣装や効果的な照明、時代考証の効いた舞台装置、音響効果、などなど
どれもこれも素晴らしかったです!

帰りは橿原神宮まで臨時バスで。そして近鉄阿倍野まで、また晶さんとお喋りしながら帰りました。
もう超!超!超!楽しかったです♪♪♪ 晶さん、本当に有難うございました!

(「明日香村彼岸花祭り」おわり 2014.9.25)
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