生きるための幻

― 阿倍内親王を想う ―


ねえ

愛していると言って


誰よりも私を好きだと言って


私の声に応えて


ねえ

どうして私を見てくれないの?


ねえ

どうして私を独りにするの?


お願い

私を愛して


私を愛していると言って


嘘でもいいから

笑って

言って

私を愛してるって



幻の愛でもいい

それでも生きていけるから


ねえ

聞かせて


私を愛していると



(C) 2010 Yuuhi

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誰かに愛して欲しい、構って欲しい。
嘘でも良いから好きだと言って欲しい。
この感情は阿倍ちゃんの心かもしれない、と。


仲麻呂や道鏡への気持ちが本当に愛だったのか、
私にはわかりません。

すぐ側にいて愛してくれるのなら、
誰でも良かったのでは無いかと思います。


彼女が本当に愛して欲しかったのは、両親です。

男の子に生まれなかったことによって失望され、
世継ぎがいないことにノイローゼになった両親に
ずっと振り回され続けて……

それでも言いなりになって大王になったのに、
結局、父は仏教に逃げ、母は権力に逃げた。

結局、彼女は両親から真っ直ぐに受け入れてもらえず、
愛されることができなかった。


彼女が起こした事件はかなり破天荒です。
かなりメチャメチャなこともやっています。
でも、それは愛されたいがゆえの暴走だったのではないでしょうか。


誰か一人でいい。
彼女と本気で向き合って、愛してくれる人が居たならば、
歴史も全然違うものになっていたのかもしれません。


参考:
魔女ノ安息地>歴史街道>古代史>
2008年 お年玉企画>天平・ガール・ウォーズ 阿倍内親王