スカーレットメトロポリス

   〜緋色の虚空都市〜

Act.6 メッセージ


 録音資料667。
 再生シマスカ?

「Yes」

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 小さなスカーレットは無事出産を終えたそうです。ですが、その後しばらくして、NSAセンターから姿を消してしまいました。
 彼女が「死にたい」といった時の顔が、私の脳裏に焼き付いて離れません。きっと一生忘れることなどできないのでしょう。

 彼女の娘は施設に預けられることになったそうです。
 ですが、ハーフエルフを欲しがる養子縁組希望者はほとんどいないと聞いています。また、惑星群ポセイドンでは国際どころか都市間の養子縁組も禁じられているので、当分は施設で育つことになるのでしょう。
 救いはペガススで育つということです。エルフ族以外との結婚が広く解放されているペガススでなら、養女として受け入れられる希望はあります。

 先日、調査に協力して下さったタニモト ミワ氏から連絡をもらいました。彼女はあの後離婚して、現在はペガススで働いているそうです。私の調査を受けたことが自分自身を顧みる機会になり、思い切って決意できたと言ってくれました。つらい気持ち、苦しい思いもあるはずです。それでも、彼女の声がとても明るくなっていたので、決して最良の結果ではなかったにしろ、良かったと思います。
 カイヤ氏もはりきって活動を続けているとか。いつかまた一緒に、と誘いの言葉をくれました。
 トゥトはあの調査の後すぐに、病気で亡くなりました。私の拙い調査に最後まで真摯に協力してくれた彼に、もう一度深く感謝いたします。

 これを聴いている人にも、興味を持ってくれたこと嬉しく思います。
 少しでも小さなスカーレット達の叫びに応えられればと思い、残す記録です。
 エルフ族の奴隷制や階級制度を自分に関係ないものと考えないで、もっと興味を持って欲しいのです。
 勿論、エルフ族だけではありません。今あなた目の前にある画面の原料は、どこかの奴隷達が強制労働させられて採掘し生産した物かもしれない。あなたが安い価格で手に入れた食料は、別の奴隷達の手で作られた飼料や肥料を用いたものかもしれない。
 世界は繋がっています。同じ世界なのです。無関係であるはずがないのです。だから、知って欲しい。考えて欲しい。そして、あなたの周りにいる誰かにあなたが考えたことを伝えて欲しいと思っています。

 その繰り返しが、奴隷制の真実の廃止に大きな力となってくれると、私は信じています。

 UE2004年 ワリス アラップ。


                     終
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